中東の民族と宗教:複雑な歴史と現代の課題

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中東の民族と宗教の多様性について

中東というと、アラブ人やイスラム教が多数を占めるイメージが強いかもしれません。でも、実はこの地域にはいろいろな民族や宗教が入り混じっているんです。今日は、その中でも少数派のグループについて一緒に見ていきましょう。

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アラブ人だけどスンニー派じゃない人たち

まず、アラブ人なのにスンニー派ではないという少数派がいます。例えば、ドルーズ派やアラウィー派、そしてキリスト教徒の人たちです。

ドルーズ派

ドルーズ派は、イスラム教シーア派の一派で、シリアやレバノン、イスラエルに住んでいる人たち。全員合わせて約50万人いると言われています。住んでいる国が違っても、「自分たちはアラブ人だ!」という強い一体感を持っているのが特徴です。

シリアのアラウィー派

アラウィー派はシリアを中心に分布していて、全人口のたった1割しかいないのに、1960年代以降はシリアの政治をリードしてきました。その結果、シリアでは多数派のスンニー派との対立が続いています。少数派が権力を握るって、いろんな国で難しい問題を生むことがありますね。

レバノンのキリスト教徒

レバノンではかつてキリスト教徒が政権を握っていましたが、イスラム教シーア派の人口が増えるにつれて、彼らの影響力は弱まっていきました。それが原因で内戦が起きたこともありました。

アラブ人ではないがスンニー派の人たち

次に、アラブ人ではないけれどスンニー派に属する人たちもいます。クルド人とベルベル人がその代表です。

クルド人の複雑な状況

クルド人って聞いたことありますか? もともとは遊牧民でしたが、今ではトルコ、イラン、イラク、シリアなどの国々に住んでいます。人数はなんと2500万から3000万人。各国でクルド人は政府と協力する派と反政府派に分かれていて、特にトルコでは長年抑圧されてきました。2014年にエルドアン大統領がクルド問題を解決しようとしましたが、残念ながら武装組織PKKのテロが続き、解決には至りませんでした。

ベルベル人の復活する文化

ベルベル人は北アフリカに住む先住民族で、現在約2000万~2500万人がいます。昔はベルベル語の使用が禁止されていた時代もありましたが、1999年にモロッコのムハンマド6世が即位してからは、ベルベル語の教育が公認されるようになりました。これによって、彼らの文化は少しずつ復活しつつあります。

アラブでもスンニー派でもない少数派

最後に、アラブ人でもスンニー派でもない集団として、北アフリカに住むユダヤ人がいます。

北アフリカのユダヤ人

ユダヤ人はイスラム教が広まる前にパレスチナから移住してきた人々で、第二次世界大戦後にはモロッコやアルジェリア、チュニジアに約55万人が住んでいました。しかし、独立後にアラブ化が進むと、彼らは欧米やイスラエルへ移住していきました。

イスラエルの内部対立

イスラエルに移住したユダヤ人の中には、先に移住したヨーロッパ系ユダヤ人(アシュケナージ系)と、後から来たアジア・アフリカ系ユダヤ人(セファルディー系)との間で格差が生じました。セファルディー系の人々はアラブ人に近い外見や文化を持っているため、イスラエル国内でも彼らはアラブに対してより強硬な姿勢をとることが多かったのです。

移民や民族の問題をどう解決すべきか?

移民や民族の問題って、本当に難しいですよね。特に、強いアイデンティティを持つ移民が自分たちの文化を守ろうとすると、現地の人々との間に摩擦が生まれやすくなります。大切なのは、お互いの文化や価値観を尊重することだと思います。「郷に入っては郷に従え」と言うように、少しずつお互いを理解し合うことで、共存の道が開けるのではないでしょうか。

 

用語

・ドルーズ派
レバノンを中心にシリアやイスラエル、ヨルダンに存在するイスラム系の宗教共同体。歴史的にはシーア派の一派から分派したものの、教義が異なるため、多くのムスリムはドゥルーズ派をイスラム教とは認めていない。
多数派になれなかったため、他宗教との対立や協力を繰り返し、全体としては世俗的・進歩的な政治スタンスを取ることが多い。

・シリアのアラウィー派
シーア派の一派で、シリアを中心に約130万人が住んでいる。シリアでは人口の1割しかいないアラウィー派が1960年代以降、政治を支配し、多数派のスンニー派の不満がシリア内政問題の一因となっている。

・レバノンのキリスト教徒
レバノンではキリスト教徒が政権を掌握していた。イスラム教シーア派の人口増加により、そのバランスが崩れ、内戦の原因となった。

・クルド人
中東クルディスタンに住むイラン系山岳民族。
イラン・イスラム共和国の主要民族であるペルシア人とは異なり、トルコ、イラク北部、イラン北西部、シリア北東部などに広がっており、人口は約3500万~4800万人と推定されている。

・ベルベル人
北アフリカに古くから住むアフロ・アジア語族の先住民族で、独自の文化を持ち、主にイスラム教を信仰している。
彼らの名称はローマ時代の蔑称に由来し、ギリシャ語の「わけのわからない言葉を話す者」を意味する「バルバロイ」から来ている。彼らは自らをアマーズィーグと呼び、アマジグ人やイマジゲンと呼ばれることも多い。現在、北アフリカではアラブ人が多数を占めているが、ベルベル人は依然として一定の人口を有している。

・ユダヤ人
ユダヤ教を信仰する者や、ユダヤ教徒を親に持つ者から成る宗教的な集団を指す。元々の意味では、狭義にイスラエル民族を指していた。ユダヤ人という名称は、イスラエルの王家に属していたユダ族に由来している。

・イスラエル
イスラエル国は、西アジアに位置する共和制国家で、北はレバノン、北東はシリア、東はヨルダン、西はパレスチナのガザ地区、南西はエジプトと接している。実質的な首都はテルアビブで、経済と技術の中心地。国内総生産は世界29位、一人当たりGDPは13位。エルサレム基本法によりエルサレムが首都とされているが、国際的にはその主権は限定的。
パレスチナは第一次世界大戦後、オスマン帝国からイギリスの委任統治下に置かれ、1948年にイスラエルが独立を宣言した。これによりアラブ・イスラエル戦争が勃発し、イスラエルは広範な領土を占有したが、ヨルダン川西岸とガザ地区はアラブ諸国に占領された。その後、イスラエルはこれらの地域を占領し、長期的な軍事支配が続いている。和平努力は続けているが、最終的な合意には至っていない。

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