プロテスタント、カトリック、正教会ってどう違うの？

宗教の違いって、なんだか難しそうに感じますよね。でも、それぞれの宗教が何を大事にしているのかを知ると、ちょっとずつ理解できてきます。今回は、プロテスタント、カトリック、そして東方正教会について、分かりやすく解説してみます。

プロテスタントの「聖書第一主義」

プロテスタントの宗派に共通しているのは、「救いは聖書を信じることによってのみ得られる」という考え方です。だからこそ、聖書をいろんな言語に翻訳することがとても重要だったんです。聖書だけが唯一の権威とされていて、それを信じることで救われると考えられてきました。

スイスのジュネーブで宗教改革を進めたジャン・カルヴァンの思想は、特に「予定説」が有名です。これは、誰が救われるかはあらかじめ神が決めていて、人間の行いや善行で変わるものではないという考えです。ちょっと厳しい感じがしますが、カルヴァンは「自分が選ばれた者だと確信することが大切」と説いていました。

さらに、カルヴァンは「教会と政治の分離」も強く主張しました。救いは神が決めることで、国家が特定の宗教を奨励しても救いにはつながらないという考えです。だから、異教徒がキリスト教に改宗するのも、神が決めることであって、人間の責任ではないとされています。

ピューリタンの「働き方改革？」

イギリスのピューリタンたちは、「神に選ばれた者は時間を無駄にしてはいけない」と考えました。「時は金なり」という言葉、実はピューリタンの考え方から来ているんです。彼らにとって、怠惰は罪であり、神のために効率よく働くことが求められました。贅沢を避け、得たお金はさらに良い使い方をしなければならないという、まさに「節約と労働の精神」が根付いていたんですね。

東方正教会と「イコン」の大切さ

一方、東方正教会では「イコン」と呼ばれる聖母マリアやキリストの聖像画が信仰の中心にあります。教会や自宅の壁に飾られ、信仰の象徴として大切にされています。でも、旧約聖書の十戒では偶像崇拝が禁止されていますよね？このため、8世紀にはビザンツ皇帝レオ三世が「イコンは偶像だ」として禁止した時期もありました。

それでも、最終的には「イコンを通じて神に語りかける」という信仰が認められました。聖ヨハネ・ダマスキノスという人物が、「イコン崇敬は像そのものを拝むのではなく、像を通じて神に向かう行為だ」と説明したんです。

カトリックと正教会の違い

カトリック教会では、人間は生まれながらにして「原罪」を背負っているとされています。そのため、人は努力して罪を克服し、神に近づかなければならないと教えられています。一方、東方正教会では、人間は本来「善なる存在」として創造されたと考えられています。人は堕落しても、神の性質を完全には失っていないとされ、今この世の中での生き方を変えることが大事だとされています。

東西教会の違いが文化に与えた影響

西方教会（カトリックやプロテスタント）は、「聖書こそが最高の権威」として、努力して善なる者になるべきだと教えています。この考え方が、西欧の発展や進歩の基盤になったといえるでしょう。

一方、東方正教会は伝統を重んじ、変化を拒む姿勢が強く、文化的にも保守的です。ロシア正教会が特にこの影響を強く受けており、厳しい気候や長い歴史の中で、慎重で保守的な文化が根付いています。近代化や宗教改革の波が押し寄せても、ロシアではその影響はあまり見られなかったのです。

まとめ

このように、宗教の違いを知ることで、歴史や文化の背景が見えてきます。それぞれの宗教が何を大切にしているのか理解することは、私たちの世界観を広げる一歩となります。どの宗教も、人々の生活や価値観に大きな影響を与えていることを知ると、もっと身近に感じられるかもしれませんね。

用語

・プロテスタント
宗教改革運動を起源とした、カトリック教会（あるいは西方教会）から分離したキリスト教の様々な宗派、特に広義における福音主義を基盤とする宗派を指す。日本においては、カトリック教会に対して「新教」と呼ばれることもある。

・カトリック
ローマ教皇を最高指導者としたキリスト教最大の宗派で、全世界に13億人以上の信者がいる。ローマの司教座を中心にしているため、ローマ教会やローマ・カトリック教会とも呼ばれている。

・東方正教会
正教会。
ギリシャ正教や東方正教会とも呼ばれるキリスト教の一派。日本語の「正教」や英語のOrthodox（オーソドックス）は、ギリシャ語の「正しい讃美」や「正しい教え」を意味する言葉に由来している。正教会は使徒からの教えを受け継いでおり、その歴史は1世紀の初代教会にまで遡るとされている。