日本におけるイスラーム教徒の増加と、文化の違いにどう向き合うか
最近、イスラーム教徒が世界中で増えているという話をよく耳にします。実際、現在では世界中に約19億人ものイスラーム教徒がいるそうで、2050年にはその数が27億6千万人に達するという予測もあります。そんな世界的な流れの中で、日本でもイスラーム教徒が徐々に増えてきています。
今、日本には約11万人のイスラーム教徒が住んでいて、そのほとんどが外国人。日本人のイスラーム教徒はおよそ1万人といわれていますが、これからさらに増えると言われています。それに伴い、礼拝堂であるモスクも全国で増えているんです。1990年代の終わりまでは国内に10か所しかありませんでしたが、今では80か所以上も建設されています。
日本の食文化とのギャップ
イスラーム教の教義は、日本の文化とは大きく異なります。その一例として、イスラーム教では豚肉を食べることが禁じられているんです。日本では、豚肉はごく普通の食材ですが、イスラーム教徒にとっては、それを他の食材と一緒に置くだけでもダメなんですよね。これって、日本の多くの飲食店にとってはなかなか難しい課題です。豚肉を使わない料理を提供したいと考えても、仕入れや調理の過程で豚の成分が混ざらないよう徹底する必要があり、大変です。
とはいえ、観光地や空港周辺など、イスラーム教徒が多く訪れる可能性がある地域では、ハラルフード(イスラーム教で許されている食品)に対応するメニューを用意することが求められています。せめて、既存のメニューの中でハラルに適した料理があれば、そのことを明示するだけでも、大きな助けになるでしょう。
住民との摩擦とその解消
モスクが増えることで、地元の住民との間に摩擦が起こることもあります。特に、イスラーム教徒の慣習や文化が日本のものとは大きく異なるため、住民は戸惑いを感じることも少なくありません。「よくわからない外国の人たちが、自分の住んでいる地域で何をしているのかが見えない」という不安は、誰にでもあるものですよね。
でも、これを解消するために必要なのは「理解」だと思います。実際、大阪市西淀川区にある「大阪マスジド」というモスクでは、最初は地元の住民が戸惑っていたそうです。けれども、実際にイスラーム教徒の人たちと話をしてみると、彼らは優しく、全く怖い存在ではなかったと言います。今では、近所の飲食店にもイスラーム教徒が訪れるようになり、地域との関係も改善されてきたようです。
まとめ
私たち日本人も、「郷に入っては郷に従え」という言葉の通り、外から来た人たちが地域に溶け込むために努力をすることを期待しますが、逆に私たちも新しい文化や慣習に対して理解を深める努力を怠ってはいけません。互いに歩み寄ることで、不安が解消され、安心して共存できる社会を築くことができるのではないでしょうか。
用語
・ハラルフード
イスラム教の聖典であるコーランに基づいた、適切な方法で畜殺されていない家畜や、豚肉が入っていない食品。
業務スーパーの公式サイトのカテゴリー検索で調べられる。
・モスク
イスラーム教の礼拝堂。
コメント