バロック美術の世界
バロック美術は、17世紀の西洋美術を指すんだ。名前の由来は「歪んだ真珠」という意味で、当時はちょっと変わってるとか、奇抜だなんて言われてたけど、今ではその独特な美しさが高く評価されている。ルネサンス美術のような端正さとは対照的で、感情を揺さぶるような劇的な動きや、豪華な装飾がバロックの魅力だ。
ベルニーニ:動き出しそうな彫刻を作った天才
バロック美術を語るとき、彫刻家ベルニーニは欠かせない存在だ。彼は大理石という硬い素材から、まるで生きているかのような作品を作り上げた。特に有名なのが「聖テレサの法悦」。テレサが神の力で天使に貫かれる瞬間を表現していて、彼女の恍惚とした表情や服の柔らかなシワまで、石とは思えないリアルさだ。それ以外にも「プロセルピナの略奪」では、人間の柔らかさまで表現されていて、ただの彫刻を超えた「絵画的」な作品として評価されている。
カラッチ:絵画に新しい風を吹き込んだ革新者
カラッチという画家もバロック時代に大きな影響を与えた一人だ。彼は、当時はあまり重要視されていなかった風景を絵の中心に持ってきたんだ。たとえば「バッカスとアリアドネの勝利」という天井画は、ラファエロやミケランジェロの影響を受けながらも、古典彫刻をしっかり研究して描かれている。彼の作品は、ただの宗教画ではなく、現実の生活を描くことで新たな絵画表現を開拓していった。
ロココ美術:個人の楽しみを追求した華やかな時代
バロックの後、18世紀に入るとロココという時代がやってくる。ロココ美術はバロックと違って、もっと軽やかで優美。個人の趣味や楽しみに焦点を当てた、ちょっと贅沢な美術が流行したんだ。ジャン・オノレ・フラゴナールの「ぶらんこ」はその象徴的な作品で、貴族男性とその愛人のちょっと遊び心のある場面を描いていて、楽しげな雰囲気が伝わってくる。
まとめ
バロックからロココにかけての美術は、時代の感情や価値観を反映している。バロックは宗教的な威厳や感動を人々に伝えようとした一方、ロココではもっと個人的な楽しみや感覚が重視されるようになった。どちらの時代も、それぞれの背景にある人々の思いが作品に表れていて、今でもその美しさや魅力を感じることができる。
用語
・バロック美術
16世紀末~18世紀初頭にヨーロッパで広まり、動きのあるダイナミックな表現が特徴。
ルネサンス期の均衡を崩し、ミケランジェロの作品はマニエリスムやバロックの先駆けとされている。
この様式は、宗教改革後のカトリック教会の反宗教改革運動や絶対王政の成立を背景にしている。
・ロココ美術
18世紀初めのフランスで、ルイ15世の時代に始まった。
「ロココ」という言葉は、建築装飾の「ロカイユ」に由来している。「ロカイユ」は、小石や貝殻を使って人工の洞窟を作ることを指し、最初は、貝殻の美しい曲線を活かした室内装飾が流行した。
・ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ
1598年12月7日~1680年11月28日。
イタリアのバロック時代の彫刻家、建築家、画家。
「ベルニーニはローマのために生まれ、ローマはベルニーニのためにつくられた」と賞賛された。
ローマを壮大で華やかな美の都市に変え、彼の作品は「芸術の奇跡」と称賛された。
1984年~1999年まで発行された50000イタリア・リレ紙幣の裏面には彼の肖像が使われていた。
・アンニーバレ・カラッチ
1560年11月3日~1609年7月15日。
イタリアの画家で、バロック時代の重要人物。
初期バロックスタイルを確立し、ボローニャ派の代表的な画家として活動した。
カラッチ家のアンニーバレを中心に多くの有名な画家が育ち、後の時代に影響を与えた。
名前は「アンニバーレ」や「アニーバレ」、姓は「カッラッチ」や「カルラッチ」とも表記される。
・ジャン・オノレ・フラゴナール
1732年4月5日~1806年8月22日。
フランスの画家。
ロココ時代の後半を代表する画家。
フランス・ロココ美術の象徴的な存在であり、時代の変化の中でロココ時代の終わりを飾った画家ともいえる。
コメント