第二次世界大戦が終わった後、世界の国々が貿易を通して成長するための仕組みが作られました。それがGATT(関税及び貿易に関する一般協定)と、その後に生まれたWTO(世界貿易機関)です。これらの制度は、国々が貿易をするためのルールを決め、守らせるために大きな役割を果たしてきました。
この記事では、GATTからWTOまでの流れや、どうして今もこの仕組みが大切なのかを、わかりやすく説明します。
GATTができた理由:戦争の反省と自由貿易の始まり
GATTが作られた背景には、第二次世界大戦前に多くの国が貿易を制限しすぎた反省があります。1929年に世界大恐慌が起きた後、アメリカやイギリス、日本などの国々は、それぞれ自国の産業を守るために高い関税をかけ、他の国との貿易を制限しました。このため、世界の経済は分断され、貿易が減り、戦争の原因にもなりました。
戦争が終わった後、国々はもう一度世界全体で自由な貿易を進める必要があると感じました。そこで1947年、23カ国が集まってGATTを作り、貿易をもっと自由にするためのルールを決めました。
GATTの役割:貿易の自由化を進める
GATTは、国々が自由に貿易できるようにするため、関税を引き下げることに力を入れました。関税とは、外国から物を輸入するときにかける税金のことです。GATTでは、加盟国が協力してこの税金を減らし、貿易の障害を少なくすることを目指しました。
その結果、1960年代までに6回のラウンドと呼ばれる交渉が行われ、多くの国が関税を引き下げることに合意しました。こうして貿易がどんどん活発になり、世界経済も大きく成長しました。
WTOへの移行:GATTの次のステップ
1980年代になると、物の貿易だけでなく、サービスや知的財産の分野も貿易ルールに含める必要があると感じるようになりました。そこで、1995年に新しい貿易機関としてWTO(世界貿易機関)が設立されました。WTOは、GATTの考え方を引き継ぎながら、サービスや知的財産に関する新しいルールも加えていきました。
WTOの特徴の一つは、加盟国同士が貿易で争いを起こした場合、その紛争を解決する仕組みを持っていることです。この仕組みのおかげで、公平な方法で貿易のトラブルを解決できるようになりました。
地域貿易協定(RTA)とWTOの今後
2000年代からは、自由貿易協定(FTA)や地域貿易協定(RTA)が増え、特定の国や地域同士で自由に貿易する動きが広がっています。これは良いことですが、同時に多国間で決めたWTOのルールとどう調整するかという問題も出てきました。
これからも、WTOが国際貿易を公平に進めるためにどんな役割を果たすのか、私たちは注意して見守る必要があります。
まとめ
GATTとWTOは、世界中の国々が貿易をもっと自由にし、共に成長できるようにするための大切な仕組みです。戦争の反省から生まれたこの制度は、今でも私たちの生活に大きな影響を与えています。
国々が貿易を通じてつながり、共に発展するために、WTOの役割は今後も重要です。貿易を通して、世界がどう成長していくのか、これからも注目していきましょう。
用語
・GATT
GATT(関税および貿易に関する一般協定)は、1947年に締結された国際合意で、関税引き上げや貿易制限を排除し、自由貿易を促進することを目的としている。これは、第二次世界大戦後の保護主義が戦争の一因とされたことを受けて設立された。
GATTは国際貿易の自由化に向けた初の共通ルールで、「無差別」貿易を基本理念とし、最恵国待遇や内国民待遇を重視している。
1995年にはWTO(世界貿易機関)が設立され、GATTはその一部として引き継がれ、関税だけでなく投資や知的財産、サービスなども扱っている。
・WTO
WTO(世界貿易機関)は、1994年にウルグアイ・ラウンド交渉の結果として設立が決まり、1995年1月1日に活動を開始した国際機関。
WTO協定は、貿易に関するさまざまな国際ルールを定めている。
WTOはこれらの協定を実施し、新しい貿易の課題にも取り組みながら、多国間貿易体制の中心的な役割を果たしている。
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