投資を始めたばかりの方にとって、「リスクヘッジ」という言葉や「複数の投資信託を持つこと」の重要性について、なかなか理解しづらいかもしれません。投資信託は一見すると分散投資がされているように見えますが、実際には1本だけでは十分なリスク分散ができない場合もあります。今回は、投資信託を複数持つことの重要性と、資産配分（アセットアロケーション）の基本について分かりやすく解説していきます。
1本だけの投資信託ではリスク分散できない理由
投資信託の中には、バランス型ファンドと呼ばれる、複数の資産クラス（株式や債券、リート、金など）に投資しているものがあります。こうしたバランス型ファンドなら、1本だけでもある程度のリスク分散が可能です。しかし、単一の資産クラスにしか投資していないファンドを1本だけ持つ場合、その資産クラスが不調になったときには、大きな損失を被る可能性があります。
例えば、「日本のTOPIX連動型」や「米国のS&P500連動型」のインデックスファンドを1本だけ持っているとします。確かに、これらのファンドはそれぞれ多くの企業に分散投資していますが、全て日本株、または米国株という同じ資産クラス内での分散に過ぎません。もし、株式市場全体が低迷した場合、その1本のファンドに投資している資産の価値は大きく下がってしまう可能性があります。
「投資信託はすでに分散されているのでは？」と思うかもしれませんが、それはあくまでも同じ資産クラスの中での話です。資産全体のリスクをしっかりと分散するためには、異なる資産クラスに投資することが必要です。
リスクヘッジの基本：複数の投資信託を持つメリット
リスクヘッジを考える際、「卵を一つの籠に盛るな」という有名な教訓があります。これは、もし1つの籠にすべての卵を入れてその籠が落ちてしまえば、すべての卵が割れてしまうという意味です。同様に、投資においても1つの資産クラスに集中して投資することはリスクが高くなります。
そこで、複数の投資信託を持つことが推奨されます。異なる資産クラスに分散して投資することで、一つの市場が悪化しても他の市場がカバーしてくれる可能性が高まります。例えば、株式と債券は一般的に逆相関の関係にあり、株式市場が下落しても、債券市場が比較的安定していれば、全体の損失を軽減できることが期待されます。
資産配分（アセットアロケーション）の重要性
資産運用において、複数の投資信託を選ぶ際のカギになるのが資産配分（アセットアロケーション）です。資産配分とは、どの資産クラスにどれだけの割合で投資するかを決めることで、これが投資の成功を左右する非常に重要な要素となります。
投資信託を選ぶとき、まず考えなければならないのは自分のリスク許容度です。資産配分を決める際、リスクをどの程度許容できるのか、そしてどのくらいのリターンを期待するのかによって、適切なバランスが変わってきます。
例えば、リスクを抑えつつ安定的なリターンを狙いたい場合は、債券の比率を高めにするのが一般的です。一方、リターンを重視したいなら、株式の比率を高めにするのが適しています。
資産クラスとは？ 投資の分野での分類を理解しよう
投資信託を複数持つといっても、どのように選べば良いのか疑問に思う方も多いでしょう。ここで重要なのが、資産クラスという概念です。
資産クラスとは、投資対象となる資産の種類のことを指します。代表的な資産クラスには、次のようなものがあります：
・株式（国内株式、海外株式）
・債券（国内債券、海外債券）
・現金および現金同等物
・コモディティ（金、銀、原油など）
・不動産（REIT）
・外貨通貨
例えば、国内の株式だけでなく、海外の株式や債券、さらにコモディティや不動産投資信託（REIT）などを組み合わせることで、リスクを分散することが可能です。それぞれの資産クラスは異なるリスクとリターンの特性を持っており、組み合わせ方次第で投資全体の安定性を高めることができます。
ポートフォリオの構築：どのように資産を配分するか
ポートフォリオとは、実際にどの金融商品にどのくらい投資するかを示したものです。資産配分を決めたら、次は具体的にどの投資信託をどのくらいの割合で持つかを決めていきます。
たとえば、リスクを抑えたいなら、次のような資産配分の例が考えられます：
・日本株式：30%
・海外株式：20%
・日本債券：30%
・海外債券：10%
・コモディティ（例：金）：10%
このように、複数の資産クラスに分散して投資することで、リスクとリターンのバランスを取ることができます。さらに、株式や債券以外にも、金や不動産投資信託（REIT）などの異なる資産クラスを組み入れることで、より強力なリスク分散が期待できます。
バランス型ファンドを使って手軽に分散投資をする方法
「複数の投資信託を選ぶのは難しそう」「時間がかかりそう」と感じる方には、バランス型ファンドという選択肢もあります。これは、1本の投資信託で複数の資産クラスに投資しているファンドで、手軽に分散投資ができるのが魅力です。
バランス型ファンドの中には、「4資産」「6資産」「8資産」など、投資先の数がファンド名に表記されているものも多く、初心者でもわかりやすいでしょう。こうしたファンドを活用すれば、1本の投資信託だけで幅広い資産クラスに投資することが可能になります。
まとめ：リスク分散と資産配分で賢く投資をする
投資信託を1本だけ持つことは、一見分散されているように見えて、実際にはリスク分散が不十分であることが多いです。そこで、複数の投資信託を持ち、異なる資産クラスに分散して投資することがリスクを抑える鍵となります。
資産配分（アセットアロケーション）は、投資の結果に大きな影響を与える重要な要素です。自分のリスク許容度や投資目標に合わせて、どの資産クラスにどれだけ配分するかを考え、しっかりとポートフォリオを組むことが、将来の資産運
用の成功につながります。
もし、複数の投資信託を選ぶのが難しい場合は、バランス型ファンドを活用して手軽にリスク分散を図るのも一つの方法です。ぜひ、自分に合った方法で資産運用を始めてみましょう。
よくある質問
1.
Q：複数の投資信託を持つ理由は？
A：異なる資産クラスに分散して投資することで、1つの市場が不調でも他の市場がカバーでき、リスクが軽減されるからです。
2.
Q：バランス型ファンドは1本だけで大丈夫？
A：バランス型ファンドは、複数の資産クラスに投資しているため、1本でもある程度のリスク分散が可能です。ただし、ファンドの中身をしっかり確認しましょう。
3.
Q：資産配分ってどう決めるの？
A：自分のリスク許容度や投資目標に応じて、株式や債券、コモディティなど、どの資産クラスにどれだけ配分するかを決めることが大切です。
4.
Q：リスクを抑えたい場合、どんな配分がいい？
A：一般的に、債券の比率を高めにするとリスクが抑えられます。逆に、リターンを重視するなら株式の比率を高めにすることが多いです。
5.
Q：バランス型ファンドはどう選べばいい？
A：ファンド名に「4資産」「6資産」と書かれているものは、どの資産に投資しているかが分かりやすく、初心者でも選びやすいです。
6.
Q：ポートフォリオって何？
A：ポートフォリオとは、実際にどの金融商品にどれだけ投資しているかを示すものです。資産配分をもとに、具体的な投資先を決めていきます。
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